発送電分離
今、原発事故を起こした東京電力の再編を巡り産業界から発送電分離を求める声が出始めています。発送電分離とは、電力供給において発電事業と送電事業を切り分け、それぞれ別の事業体が行うことをいいます。その流れは下図の通りです。(いずれの図もクリックすると大きくなります)
電力自由化が行われた後、独立系発電事業者(IPP)や特定規模電気事業者(PPS)として、電力の直接販売に乗り出した企業はありますが、電力会社の支配力が強く、化石燃料の高騰、送配電網の利用料や、求められる品質の電力の供給が出来なかった場合のペナルティー料金など、電力会社に支払うコストが高くて採算が合わず、大半の企業は、自家消費にとどまっていました。
発送電が分離されれば、コスト負担が軽減され、新規参入が容易になると期待されています。
発送電分離は今に始まったことではありません。2000年以降、自由化論議の中で、公正取引委員会や経済産業省の一部の幹部、学識経験者などが「国際的にみて高い水準の電気料金を引き下げるためには電力間競争を促進する必要がある」としてISO方式による発送電分離を提唱しました。
これに対し、東京電力など電力大手は2003年のニューヨーク大停電などを引き合いに「系統一体運用でなければ電力は安定供給できない」と猛烈に反対し、結局は流れてしまいました。
しかし、欧米ではすでに発送電分離が進んでいます。
独立系発電事業者(IPP)と特定規模電気事業者(PPS)
ともに発電を行い、その電力を外部に販売する事業者ですが、販売先により下図のように分けられています。
独立系発電事業者(IPP=Independent Power Producer)は電気事業法に定められた電力会社以外の発電事業者が発電した電力を電力会社に供給します。
下写真は住友金属鹿島火力発電所です。2007年6月に営業運転を開始した出力50万7,000kWの石炭火力発電所です。発生した電気は全て電力会社に供給しています。
特定規模電気事業者(PPS=Power Producer and Supplier)は発電を行い、電力会社の送電網を利用して(接続供給)、電力を需要家に販売します。
下の写真はJX日鉱日石エネルギーと東京ガスが出資する川崎天然ガス発電所です。
1号機2008年4月、 2号機2008年10月に設置され、いずれも出力40万kwのガスタービン複合発電機です。
自家発電
電気を消費する事業者が発電設備を用意して、自ら需要をまかなうことをいいます。石油コンビナートや製鉄所など大量の電力を消費する施設では、電力会社に匹敵する大型設備を整えています。経済産業省の認可ベースで2010年9月末時点での全国の自家発電の出力合計は下図の通り、6,035万kwで、そのうち約50%が東北・関東にあります。
このように、産業界には充分供給余力があります。
しかし東電など電力10社は、発送電分離に対し「今の枠組みが最も効率的」という立場に固執しており、原発を含めた安定電源をしっかり管理し、高品質の電力を供給し続けるには自前主義が必要不可欠と主張しています。(原発のずさんな管理をしておきながら、そんなことを言えるガラではないと思いますが・・・)
また、震災のあと、自家発電を持つ大手企業は経済産業省から余剰電力の供出を要請され、稼働率向上にかけずり回ったにもかかわらず、東電からは正式な協力要請が来なかった企業が多かったとのことです。
電力会社は天下り天国
経済産業省は5月2日、過去50年間に68人の幹部が電力各社に天下りしていたとの下表のような調査結果を発表しました。
このうち、通産省・経産省の事務次官が5人、資源エネルギー長官が3人、天下りしています。顧問として入社し、副社長などを務めたあと退職するケースが多いようです。
なるほど!!東電が経済産業省より力をもっている訳がわかりました。
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この記事へのコメント
はな
自由化できたんですね。
電気=東電しかないと思っていましたした。
今回の東電による電気事業の独占についてインターネットで調べたのですが…利権柄みの情報が溢れ、ショックと怒りを覚えました。
M YASUDA
地域独占体制をがっちり固めている電力各社。
政・官・学を支配し、慢心・驕りの結果が、今回の事故を起こしたと思います。
電力の自由化は形式上行いましたが、送電網を持つ電力会
社の支配力が強く、新規参入は難しそうです。
しかし、今回の損害賠償の資金捻出のために、東電がこの送電網を売却すれば、大きな資金を得られるはずです。
今回事故を機会に、誰かが英断を下すべきです。